2013年8月2日金曜日

Web2.0と看護士の利用 行動科学

Web2.0と看護士に関する文献メモです。
私の興味のある対象は一般の人ですが、Web2.0の利用についてですし、そして私が看護情報学専攻ですし、ということで読んでみました。
Hospital-Based Nurses’ Perceptions of the Adoption of Web 2.0 Tools for Knowledge Sharing, Learning, Social Interaction and the Production of Collective[1]



・IntelligenceWeb2.0ツールがどのように看護領域で用いられるか、看護師によるWeb2.0の受容に対する行動の知覚を調査する。
・看護師の受容に対する意図に影響を与えている要因を明らかにするリサーチモデルを設計
・モデルに基づいて仮説と質問紙の設計
・データを収集し、要因を明らかにする。


どのようにWeb2.0ツールが看護師による知識共有、学習、社会的交流、集団的知性を支えるか。
・看護師はブログを使って、バーチャルコミュニティや社会的交流によって看護知識を得て、お互いに労働経験を学ぶことができる(Lau & Tsui, 2009)。

・看護師はwikiを使って協働的学習や内省的学習の経過を経験することができ、他の看護師から知識を得て、問題解決にその知識を適応させること
ができる。消費者のウィキ作成サイト面白そう
・Podcastで、看護師はRSSを使えばリアルタイムでの知識共有、最新情報の取得、学習を促進するために他者とインターネットのリソースを共有することができる。
いつでもどこでも看護学習や集団的知性の創造が行えるよう、RSSを使って、画像や音声またはビデオファイルで看護スキルや技術を他の看護師と共有や獲得することができる。
・看護師はウェブサイトや学習リソースを共有するためにタグ付けを行うことができる。
・看護師は知識共有や学習にソーシャルブックマークを使うことができ、無駄な検索を減らし、リソースの共有によってソーシャルラーニングを促進する。
・看護師はソーシャルネットワーキングソフトウェアを使って、自身のソーシャルコミュニティを築き維持することができ、それによって患者が行っているようにインターネット上で社会的交流や学習、集団的知性の創造を促進する(Chou et al., 2009)(Wicks et al., 2010)


人間行動モデル
合理的行動理論The theory of reasoned action (TRA)、計画的行動理論the theory of planned behavior (TPB) (Pawlak et al., 2008) 、技術受容モデル(仮)technology acceptance model (TAM) (Kim & Chang, 2007)は人の行動の受容に対する認知に関する研究でもっとも広く使われる人間行動モデルである(Davis, 1989)(Iacovou & Izak, 1995)(Benbast & Wang, 2005)

計画的行動理論の構造と基本的信念からhe decomposed theory of planned behavior (DTPB)(Taylor & Todd, 195)(Shin & Fang, 2004)(Lau & Kwork, 2004)を得た。
このモデルはTAMの利点も持つ。

このDTPBモデルに基づき、香港の看護士におけるWeb2.0の受容を研究するために新たな理論的枠組みを作った。

Web2.0の受容という利用行動は行動的意図によって決まり、大きな三つの決定要素―態度、主観的規範、行動制御感が行動的意図を決定するために使われた。

有効性の認知や利用しやすさの認知、相対的な利点、適合性はWeb2.0ツールへの態度を決める構成概念、上司による管理、病院の影響は主観的規範の構成概念、資源や技術を促進する環境は行動制御間の構成概念である。


このモデルに基づき仮説を立て、質問紙を開発した。


方法
・必要なサンプルサイズは377と計算
・病棟などで働く看護士1053に質問紙(6段階のリッカート尺度)を配布
・返ってきた392の内、不完全な回答である4つを除く388(37%)を分析
・ピアソンの相関係数rとt値の利用
・相関係数は2つの構成概念間の関係の強さを見るため、t値はその相関自体が偶然によるものかどうか判断するために利用

結論/考察
Web2.0の受容は客観的な決定ではなく、看護士にとっていかに有効で役に立つかによる。適合性も看護士の実際の行動を変容させるのに重要である。

多くの看護士は何らかのWeb2.0ツールを利用しており、利用しやすさの認知は重要でない。

同僚や病院は上司の管理より重要な影響を持つ。これはWeb2.0のコミュニティでは同僚無しには形成されないことによる。つまり同僚がWeb2.0のプラットフォーム上で活動していることは大きな影響を持つ。

だが、そこには知識共有のための患者のデータやプライバシーが起こりうるので、看護士の意思決定に重要な問題として病院の管理やガイドラインがある。

同僚の参加と病院の管理が看護士によるWeb2.0の受容に影響する主要な要因である。

利用行動は行動意図と有意に正の相関があり、行動意図は態度や主観的規範、行動制御間と正の相関を持つ。t値は態度、行動制御間、主観的規範の順に小さくなっていた。

政策立案者はこういったことを踏まえるべきである…



読んで見ると行動科学的な見地からの論文でした。
分析方法が相関とt値による有意性を見ていたが、多変量解析があってもよさそうな気がします(統計に関してまだ無知ですが...)。

0 件のコメント:

コメントを投稿