2013年7月25日木曜日

ヘルスコミュニケーションと新技術②

7月24日水曜日のゼミで輪読の担当をしました。
今回はそのご紹介です。

書籍
Health Communication in the 21st Century, Second edition


輪読箇所
Chapter7 New Technologies and Health Communication



New Technologies and Provider-Provider Communication
Email, Wireless/satellite Communication, and Electronic Records
・それぞれの特性
・ Electronic Medical Records  
Eder and Wise(2001)は保健医療分野のビジネス活動のおよそ75%が情報の入手の操作であり、そのほとんどが紙媒体であると見積もった。

Disadvantages of New Communication Technologies
・診察室でコンピューターを利用することがプロバイダーと患者のやり取りにどのような影響をもたらすかについてはあまり知られていないが、コンピューターを使って患者の情報を得ることは言語 的にも非言語的にも患者とのやり取りを減らす可能性がある。
・ ヘルスコミュニケーションの文献は、コンピューターの無い診察室でプロバイダーと患者の間におこりうる様々なやり取りの問題を記録してきた。

⇒コンピューターの導入は診察時のやり取りを一層複雑にして、問題のあるものにすると想定するのは合理的である。

・ プライバシーや機密性
Federal Trade Commision’s Fair Information Practices guidelines
HIPPAA

Continuing Education
・ ウェブベースドの継続教育コース
多くがプロバイダーに自身のペースでコースを修了することを可能にし、中にはコースの終わりに 終了証をダウンロードできるようにしているものさえある。
“インターネットは高価な会議場や視聴覚教材の借用、旅費、施設やスタッフへの手数料を省き 非常に低価格で現在のCMEを提供する” (Whitten, Eastin, and, Coo, 2001)。
・ インターネットベースドの継続教育コースの種類や質はさまざまである(Kim, 1998) 



New Technologies and Provider-Patient Communication
On-Line Communication Technology and Provider-Patient Interaction
Physician Resistance
・ 医師はeメールやウェブベースドの媒体を使って患者と交流することにやや否定的である  (Podichetty & Penn, 2004)。
・ eメールには医師患者間のコミュニケーションを促進する力があるが、多くの医師は患者のプライバシーやヘルスケアに関する心理社会的要素(対面でなければ判断して伝えらえないもの)を提供する力の衰え、医療過誤による訴訟の増加といった理由から伝統的な医師患者間の境界線を越えたがらない(Bovi, 2003; Houston, Sands, Nash, & Ford, 2003; Roter et al., 2008)。

Advantages of On-Line Provider-Patient Communication
・ 患者の78%が、医師とのオンラインコミュニケーションを対面コミュニケーションより好んだ(Sutton & Walker, 2007)

⇒Eメールの持つ非同期性という本質が、患者が健康についての関心を尋ねたり、伝えたりする時にその考えをまとめる時間を与えるので、理解のある患者になれる(Strasser et al., 2002)。

・ 伝統的なプロバイダー患者関係は新技術を利用する可能性を低くする可能性がある。

Changes in Face-to-Face Provider-Patient Interaction Due to the Internet
・ 医師は多くの時間を患者がオンライン上で得てきた質問に答えることに費やしている(Sundar et  al., 2011)。
・ 患者は自分たちの健康状態に関する補完的な情報を持ったウェブサイトを医師から勧められたいと思っている(Diaz et al., 2005)。患者は医師がインターネットから得た情報についての質問に答えてくれたり、問題に取り組んでくれた時により満たされるようである。

Websites and Patient Access to Providers
・ 健康情報を提供するサイトへの商業目的のスポンサーがつくことへの懸念。
⇒健康に関するサイトによって歳入を増やすことは公衆衛生の向上より重要なのか?

Telemedicine and Patients
・ 交流の大部分はプライマリケア医と専門医によって行われていて、患者はほとんど参加していないという報告がある(Turner, 2003)。
・ 患者はテレメディシンによる交流に満足している(Whitten & Buis, 2008)とす一方、Miller(2003)はテレメディシンでは非言語的キューが減るので主観性の失われたプロバイダー患者間の交流になるとしている。

Managed Care Organization Efforts to Reach Patients Via the Internet
・ ケア管理組織の作るインタラクティブなサイト
消費者はそれによって自分にあった情報を得られが、ウェブ上の健康情報を強調する。
⇒実際のプロバイダーとのインタラクションには反している。

Witherspoon(2001)はHMOのサイトに専門家などへのeメールのリンクや掲示板、チャットルームが無いことを明らかにした。



New Technologies and Health Campaigns
Tailoring Health Messages
・ 特定の集団に対する特定のメッセージ
ヘルスキャンペーンにおいて、人は個人的に関係のある情報により関心を持ち、このことは態度や行動の変容をもたらす重要な一歩目である(Kreuter et al., 2000)。
・ Kreuterら(2000)はメッセージが個人の明確なニーズを反映する時、それはよく考えこまれて作られる。そしてElaboration likelihood model(Petty & Cacioppo, 1981)によると、継続した態度や行動の変容に重要な前提条件である。
・ プログラミングプロセスのために作られるアルゴリズムによってターゲットとなる人と特定のメッセージを素早く結びつけることで、コンピュータープログラムはテーラードメッセージの開発を可能にした。



ディスカッション
・コンピュータによる特定のメッセージの理解の助けとして米国のHHSが手掛けるhealthfinderの話
・健康サイトにスポンサーがつくことをどう捉えるか。実際の所、スポンサーがつかなければサイトを運営していくのは困難である。現在はスポンサーを公表するというのが決められているので、あとは読み手がどう読むか、専門家が中立的にそのサイトを評価できるか。
・ネット上での交流でなくeメールを使うことの意味。
・医師と患者のeメールコミュニケーションは実際には医師にとっては大きな手間となりうる。
・Elaboration likelihood model=精緻化見込みモデル
私たち消費者は広告の持つ説得(この商品を買わせようという説得)に対して2つの反応がある。1つが中心ルートと呼ばれる、その広告が持つ内容を正しく理解し、検討するという反応。もう1つ周辺ルートと呼ばれる、広告の内容より起用しているタレントなどによって影響される反応。


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