2013年7月30日火曜日

ヘルスケアがソーシャルメディアを迎える

CALIFORNIA HEALTHCARE FOUNDATIONから2008年に公表されたレポート
The Wisdom of Patients: Health Care Meets Online Social Media[1]
のメモです。


論文ではなくレポートですが、2008年という日本でもようやくソーシャルメディアが流行り始めた時のレポートで、結論のところではWeb3.0についても言及していたことから気になって読んでみました。



Web2.0は一般の人がオンラインコンテンツを創造することを可能にした。
ユーザー生成コンテンツ(UCC)はソーシャルネットワークによって支えられる様々な活動があり、写真の共有や、ビデオのアップロード、音楽のダウンロード、ブログなどがある。消費者は日々の生活で娯楽や教育、財政経営のために使っており、ソーシャルメディアと呼ばれるこの技術は消費者が健康情報やサポートのために使うプラットフォームでもある。
インターネット上のソーシャルメディアは保健医療の場の消費者と医療提供者にempowering、engaging,、educatingを行っている。
この流れ(movement)はhealth2.0として知られており、
ソーシャルソフトウェアの利用と、患者やその保健医療提供者、医療専門家、保健医療分野の利害関係者間のコラボレーションを促進する能力
と定義できる。

ソーシャルネットワーク内に患者が多ければ多いほど、彼らは多くの価値を創り出す。これはポジティブネットワーク外部性(positive network effect)という現象である。集団的知性の利用(harnessing collective intelligence)と呼ぶ人もいる。
James Surowieckiは彼の著書、「Wisdom of Crowds」の中で、“集団とは驚くべきほど知的で、たいていその集団の中で最も賢い人々より賢い。”と述べた。

PatientsLikeMeの例


2008年のEdelman Trust Barometerによると人は自分のような人を権威者より信頼する傾向があり、さらにソーシャルネットワーク―企業についての意見を友達、同僚、広いコミュニティで共有する人々―はより健康志向が高い。


Jude O'Reilleyによれば現在の消費者生成コンテンツ(CGC)は意思決定支援のためにきちんと整理されていない。
“人々は実用的な情報を得るために広大なメッセージボードから採掘している。その人達が自分でせざるを得ないことは二つの困難な課題を解決することである:一つ目にこの人は私と同じような人なのか、;二つ目にこの人は信頼できるのか。信頼を構築する作業は非常に骨が折れるものである。”


保健医療におけるソーシャルメディアへの批判は個人によって作られたコンテンツは悪影響や、死さえひきおこしうると警告する。
Envision SolutionsのFard Johnmarはこれに対して“コミュニティはとても活動的で、自己修正をする多くのメンバーがいる。間違った情報は追い出される。ちょうどウィキペディアのように、間違った情報は長いこと残りはしない”と反論した。



Yahoo!HealthのBonnie Beckerによれば“プロシューマー(Purosumer)”とは健康情報を積極的に検索する消費者(Consumer)であるという。
Beckerは“消費者はオンラインの健康情報のソースとして単に一つのソースだけを使うことはない。人は平均して5つの情報ソースを検索に利用する。人はYahoo!Healthを訪れるだけではなく、MayoやWebMD、ブログサイトを訪れる。人は全てのWebに即して情報を再確認するのである。”と言う。



なぜ消費者はソーシャルメディアを利用するのか
情緒的サポートは重要であるが、薬や治療に関しての他者の声を聴くこと、他の人の知識や経験を見ること、状態をどのように管理するかを学ぶことのほうがより重要となっている。
出典Jupiter Research, Online Health: Assessing the risks and opportunity of social and one-to-one media, 2007.



保健医療の場でソーシャルメディアを利用する人はどれ位の個人的な情報が共有され、その情報を共有することによる個人的な見返りはなんであるのかに関してよく学んだ意思決定が求められる。



インターネットがWeb2.0に発達したように、専門家がWeb3.0を思い描くことは自然であり、それはセマンティックウェブとして知られている。セマンティックウェブはオンラインで利用できる情報やサービスが持つ意味の定義が加えられたワールドワイドウェブの拡張である。それは人の要求を理解し、満たし、機械がコンテンツを使うことを可能にする。

ワールドワイドウェブを開発し、その用語を造った開発者Tim Berners-Leeはその重要性を語った。“今日のほとんどのウェブコンテンツは人が読むように設計されていて、コンピュータープログラムが有効的に操作できるようにはなっていない。コンピューターはレイアウトや日常的な処理のためにウェブページをうまく分析することができる。だが一般的に、コンピューターには意味を処理するための信頼できる方法が無い。”
コンピューターは検索用語の意味を知らない。
セマンティックウェブの実現は全ての人に求めているものにより近い情報の検索をもたらしうる。


少し古いところもありましたが、2008年の段階ですでにここまでまとめらているということに驚きです。

[1]The Wisdom of Patients: Health Care Meets Online Social Media
Jane Sarasohn-Kahn, THINK-Health

CALIFORNIA HEALTHCARE FOUNDATION
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